MONEY LEDGER・解説

適格請求書と区分記載請求書(非適格)、書き方はどう違うか

インボイス登録をするかどうかで、発行する請求書の形式が変わります。登録前後で何がどう変わるのか、具体的に比べておきます。

登録しているかどうかで、請求書の種類が変わる

インボイス発行事業者として登録していれば「適格請求書」、登録していなければ「区分記載請求書」を発行することになります。登録していない事業者(免税事業者のままの人、課税事業者だが未登録の人)は適格請求書を発行できないため、実務上は区分記載請求書と呼ばれる形式のまま請求書を発行し続けることになります。

区分記載請求書は、インボイス制度が始まる前から使われていた形式です。インボイス制度が始まったあとも、未登録の事業者はこの形式を使い続けてよいことになっています。

記載事項を比べる

適格請求書に必要な項目は6つで、区分記載請求書(登録前に使う、従来の書き方)に比べて、3つの項目が増えます。

区分記載請求書(登録前の書き方)適格請求書(6項目)
書類の作成者の氏名または名称発行事業者の氏名または名称、および登録番号
取引を行った年月日取引年月日
取引の内容(軽減税率の対象品目であればその旨)取引内容(軽減税率の対象品目であればその旨)
税率ごとに合計した対価の額(税込価格)税率ごとに区分して合計した対価の額、および適用税率
-税率ごとに区分した消費税額等
書類の交付を受ける事業者の氏名または名称書類の交付を受ける事業者の氏名または名称

見比べると、適格請求書で新しく増えるのは「登録番号」「適用税率」「税率ごとに区分した消費税額等」の3つだけです。取引年月日や取引内容、金額、宛先といった基本的な項目は変わりません。適格請求書の記載事項そのものをより詳しく知りたい場合は「適格請求書(インボイス)の書き方と記載事項」にまとめています。

具体的な記載例で見てみる

フリーランスのデザイナーが、ウェブサイト制作費として11万円(税込、10%対象)を請求する場合で比べてみます。

登録前(区分記載請求書)

請求書
宛先〇〇株式会社 御中
日付2026年10月15日
件名ウェブサイト制作費
金額110,000円(税込)
発行者△△デザイン事務所

登録後(適格請求書)

請求書
宛先〇〇株式会社 御中
日付2026年10月15日
件名ウェブサイト制作費
税抜金額(10%対象)100,000円
消費税額(10%)10,000円
合計110,000円(税込)
登録番号T1234567890123
発行者△△デザイン事務所

税込の合計額をひとつ書くだけだったところが、「税抜金額」「税率」「消費税額」の3段に分かれ、発行者名のそばに登録番号が入ります。それ以外の宛先・日付・項目名はそのままでかまいません。

作業としてはそれほど大きくない

登録前のフォーマットを一から作り直す必要はなく、上の例のように3項目を足すだけで対応できます。

つまずきやすいのは、税込の合計額しか書いていなかったフォーマットで、税抜金額・税率・消費税額を分けて出す計算を新しく入れる部分です。会計ソフトや請求書作成サービスを使っていれば、登録番号を一度設定するだけで、これらの項目が自動的に反映される形式になっていることが多いです。

登録していない相手から請求書を受け取ったときはどうなるか

仕入れ側として、相手が未登録で区分記載請求書しか発行できない場合でも、記載事項を満たしていれば経過措置の範囲内で仕入税額控除を受けられます。

区分記載請求書等保存方式の記載事項を満たしていれば、経過措置の割合に応じて仕入税額控除が受けられます。この経過措置の割合は段階的に下がっていく予定で、2026年10月以降は70%になります。詳しくは「2026年10月のインボイス制度改正、何が変わったか」にまとめています。

登録の有無で発行する請求書の種類は変わりますが、増える項目は3つだけなので、身構えるほどの作業ではありません。登録前のフォーマットを一から作り直す必要はなく、既存の請求書に登録番号・適用税率・税率ごとの消費税額を足す形で対応できます。登録するかどうかから考えたい場合の判断材料は「インボイス制度と消費税」に、発行した請求書の保存期間は「インボイス・帳簿の保存期間と電子帳簿保存法」にまとめています。

主な出典

ここに挙げたのは主な参考資料であり、本文のすべての記述の根拠ではありません。制度や金額は改定されることがあります。最新の情報は、上記の公式ページでご確認ください。

確認日:2026年10月16日