給与所得控除とは?
給与所得控除とは、会社員やパートなどの給与所得者が、給与収入から一律に差し引ける控除で、いわば「みなし経費」にあたるものです。給与所得 = 給与収入 − 給与所得控除、という式で計算し、この給与所得をもとに所得税・住民税が決まります。
個人事業主が実際に使った経費を積み上げて申告するのに対し、給与所得者は収入額に応じて自動的に一定額が差し引かれます。年末調整や確定申告で、自分で申請する必要はありません。
令和7年分の速算表(最低保証額65万円)
給与所得控除額は、令和7年分(2025年分)は、年収190万円以下なら一律65万円、それを超えると収入に応じた速算式で計算します。以前(令和2年〜6年分)は最低保証額55万円・適用範囲が年収162.5万円以下でしたが、物価上昇への対応として引き上げられました。
| 給与収入 | 給与所得控除額 |
|---|---|
| 190万円以下 | 65万円(一律) |
| 190万円超 〜 360万円 | 収入金額 × 30% + 8万円 |
| 360万円超 〜 660万円 | 収入金額 × 20% + 44万円 |
| 660万円超 〜 850万円 | 収入金額 × 10% + 110万円 |
| 850万円超 | 195万円(上限) |
令和8年分・令和9年分の速算表(220万円まで74万円)
令和8年分・令和9年分は、給与等の収入金額が220万円までの場合、給与所得控除額は74万円です。令和8年度税制改正によるもので、令和8年12月1日に施行され、令和8年分・令和9年分に適用されます。
| 給与収入 | 給与所得控除額 |
|---|---|
| 220万円まで | 74万円 |
| 220万円超 〜 360万円 | 収入金額 × 30% + 8万円 |
| 360万円超 〜 660万円 | 収入金額 × 20% + 44万円 |
| 660万円超 〜 850万円 | 収入金額 × 10% + 110万円 |
| 850万円超 | 195万円(上限) |
なぜ給与所得控除があるのか
給与所得控除は、会社員が仕事のために使うお金(スーツ代、書籍代、資格取得費用など)を、いちいち領収書を集めなくても概算で経費扱いできるようにする制度です。個人事業主のように実額を積み上げる仕組みは、給与所得者には手間が大きすぎるため、収入額に応じた一律控除で代用しています。
実際にかかった経費が給与所得控除額を超える場合は、「特定支出控除」という制度で超えた分を追加で控除できますが、対象になる支出の範囲が狭く、給与所得控除を上回るケースはまれです。
個人事業主の「経費」との違い
- 個人事業主 … 実際に使った金額を、レシート・領収書などの証拠とともに積み上げて申告する
- 給与所得者 … 実際の支出額に関係なく、収入額に応じて自動的に一律控除される。証拠書類は不要
そのため、会社員から独立して個人事業主になると、「経費を自分で管理して申告する」という作業が新たに必要になります。
控除を差し引いたあとの計算
給与所得控除を差し引いたあとの流れは、次のとおりです。
- 給与収入 − 給与所得控除 = 給与所得
- 給与所得 − 社会保険料控除・基礎控除などの所得控除 = 課税所得
- 課税所得 × 税率 = 所得税・住民税
この流れは、個人事業主の「事業所得(売上−経費)」を「給与所得(給与収入−給与所得控除)」に置き換えただけで、そのあとの所得控除・税率の考え方は同じです。
副業がある場合の注意点
給与所得控除は、あくまで給与収入に対してだけ適用されます。副業の収入(事業所得・雑所得)には給与所得控除は使えず、実際にかかった経費だけを差し引きます。副業の所得が年間20万円を超えると確定申告が必要になる「20万円ルール」については、別の記事で詳しく解説しています。
自分の場合の手取りを試算する
給与所得控除を踏まえた所得税・住民税・手取りの目安を確認できます。
税金・保険料シミュレーターを試す →- 国税庁「No.1410 給与所得控除」(令和8年4月1日現在法令等) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1410.htm
- 国税庁「令和8年度税制改正(所得税の基礎控除の引上げ等関係)Q&A」(令和8年5月) https://www.nta.go.jp/users/gensen/2026kiso/pdf/0026005-024.pdf
ここに挙げたのは主な参考資料であり、本文のすべての記述の根拠ではありません。制度や金額は改定されることがあります。最新の情報は、上記の公式ページでご確認ください。
確認日:2026年10月16日