個人事業税とは?
個人事業税とは、個人で事業を営む人が、事業所のある都道府県に納める地方税(事業税)です。法人の場合は「法人事業税」といい、個人事業主の場合は「個人事業税」と呼ばれます。所得税は国、住民税は市区町村に納めるのに対し、個人事業税は都道府県税事務所が扱います。
すべての個人事業主にかかるわけではなく、法律で定められた業種(法定業種)に該当し、かつ事業の所得が事業主控除(年290万円)を超える場合に発生します。事業が軌道に乗ると新たに加わる負担なので、見落としがちです。
個人事業税がかかる業種・かからない業種
個人事業税がかかるのは、地方税法が定める70の法定業種です。物品販売業、飲食店業、製造業、建設業(請負業)、不動産貸付業、運送業、印刷業、デザイン業、コンサルタント業、医業、弁護士・税理士などの士業、理容・美容業など、一般的な事業はほぼ含まれます。
一方、法定業種の一覧に含まれない事業には、個人事業税はかかりません。都道府県の法定業種の一覧に載っていない代表的な例は次のとおりです。
- 著述業(作家・ライターなどの文筆業)
- 画家・作曲家などの芸術活動
- 農業・林業
- 給与所得や雑所得など、事業所得ではない収入(会社員の副業で「事業」と認められない場合など)
プログラマー・システムエンジニアなどは、契約形態(請負か、労務の提供か)によって課税・非課税の判断が分かれることがあります。
事業主控除290万円とは?
事業主控除とは、個人事業税の計算で、事業の所得から一律に差し引ける年290万円の控除です。誰でも、申請なしで自動的に適用されます。営業期間が1年に満たない年(開業した年など)は、月割りになります。
つまり、事業の所得(青色申告特別控除を足し戻した額)が290万円以下なら、個人事業税はかかりません。開業したばかりで所得が小さいうちは、法定業種でも課税されないケースが多くあります。
個人事業税の計算方法と税率
個人事業税は「(事業の所得 − 事業主控除290万円等)× 税率」で計算し、税率は業種によって3%〜5%と異なります。より正確には次のとおりです。
(事業の所得 + 青色申告特別控除の額 − 各種控除 − 事業主控除290万円) × 税率
- 青色申告特別控除は使えない … 所得税では最大65万円を差し引けますが、個人事業税の計算ではこの控除がないものとして計算します(所得に足し戻す)
- 事業主控除が年290万円 … 上記のとおり、誰でも一律に差し引けます
税率は、法定業種が属する事業の区分によって決まります。
| 区分 | 主な業種 | 税率 |
|---|---|---|
| 第1種事業 | 物品販売、飲食店、製造、建設(請負)、不動産貸付、運送、印刷、広告、出版など(37業種) | 5% |
| 第2種事業 | 畜産業、水産業、薪炭製造業(3業種) | 4% |
| 第3種事業 | 医業、弁護士・税理士などの士業、デザイン業、コンサルタント業、理容・美容業など(30業種)。ただしあん摩・マッサージ・はり・きゅう・柔道整復などは3% | 5%(一部3%) |
例:事業所得400万円(うち青色申告特別控除65万円を適用済み)の場合 →(400万 + 65万 − 290万)× 5% = 175万 × 5% = 8万7,500円。
納付時期と納税通知書が届くまでの流れ
個人事業税の納付時期は、8月と11月の年2回が目安です。都道府県から8月ごろに納税通知書(納付書)が届き、第1期(8月31日)と第2期(11月30日)の期限に半分ずつ納めます(一括納付も可)。東京都の場合、通知が9月になると納期は9月末・11月末に、10月以降になると翌月末・2月末になります。
- 前年分の確定申告(または住民税の申告)をする … 個人事業税のための申告は、原則として不要です
- 都道府県が申告内容から課税を判断・計算する … 法定業種に該当し、所得が事業主控除を超えていれば課税されます
- 8月ごろ、納税通知書が自宅や事業所に届く … 課税されない場合は何も届きません
- 8月・11月の期限までに納める … 金融機関・コンビニ・スマホ決済・口座振替などで納付できます(方法は都道府県により異なります)
開業した年の所得に対する個人事業税は、翌年の8月に初めて通知が届きます。
見落としがちな注意点
- 所得税・住民税とは別に納める … 確定申告で所得税を納め、住民税も払っていても、個人事業税は別の税金として通知が来ます。二重課税ではなく、それぞれ別の税です
- 青色申告特別控除の分だけ、所得が大きく見積もられる … 所得税の所得より、個人事業税の課税対象のほうが最大65万円多くなります
- 納税通知書が来て初めて課税に気づくことが多い … 開業2年目の8月に突然届くため、あらかじめ資金を確保しておくと安心です
- 申告をしていないと、都道府県が課税の判断ができない … 所得が少なくても、確定申告または住民税の申告は必ず行ってください
- 納付を忘れると延滞金がかかる … 納期限(8月末・11月末など、通知書に記載)を過ぎないよう注意してください
個人事業税は経費になる
個人事業税は、納付した年の必要経費に「租税公課」として算入できます。所得税・住民税・国民健康保険料が経費にならないのとは異なる点です。翌年の記帳で計上を忘れないようにしましょう。
自分の場合の税負担を試算する
所得税・住民税・国民健康保険料とあわせた負担の全体像を確認しておくと、資金計画が立てやすくなります。
税金・保険料シミュレーターを試す →やよいの青色申告 オンライン
- 東京都主税局「個人事業税」 https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/kazei/kojin_ji.html
- 弥生「やよいの青色申告」(初年度優待価格の記載を確認) https://www.yayoi-kk.co.jp/products/aoiro/
ここに挙げたのは主な参考資料であり、本文のすべての記述の根拠ではありません。制度や金額は改定されることがあります。最新の情報は、上記の公式ページでご確認ください。
確認日:2026年10月16日